第三舞台の代表作、1991年上演版。
変革からも破壊からも遠く、遊戯の果てを見ようと立ち尽くす男たちと、
「ゴドーを待ちながら」の世界が交錯する。
【作・演出】鴻上尚史
【出演】大高洋夫 小須田康人 筧利夫 勝村政信 京晋佑
1991.2.21→3.24 新宿・紀伊國屋ホール
クローズドサーキット(東京)1991.3.24 スタジオ・アルタ
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あなたを待つという事。
あなたに待たれるという事。
待つことは幸福なのか。待つことは不幸なのか。
待つことをやめるのは難しい。
しかし待つことを忘れるのはたやすい。
つれないそぶりを見せるのはたやすい。
つれないそぶりをやめるのは難しい。
待たれている事は楽しい。
待たれていない事は恐ろしい。
ゴドーは一体どんな顔で登場すればいいのか。
人生をつぶすのはたやすい。
暇をつぶす事は難しい。
ルービック・キューブを忘れる事はできる。
しかし宇宙を忘れる事はできない。
愛を信じる事は可笑しい。
手ざわりを信じる事は悲しい。
淋しさは愛に似ている。
理解は別れに似ている。
連帯は孤独に似ている。
救済はナイフに似ている。
夢は髪の毛に似ている。
そして第三舞台は何者にも似ていない。